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親世代と子世代で「終活」「お墓」に対する意識はどう違うのか?

終活に関する調査は、保険、相続、葬儀、お墓等に関連する民間の企業で度々行われています。今回はお墓の販売や葬儀を手がける株式会社ニチリョクが「終活とお墓に関する意識調査」(対象:40代以上男女1000人)を行ったアンケート結果をもとに考察したいと思います。

まずはアンケート結果をご紹介します。

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000012.000070310.html

Q1. どなたかと相談しながら、終活をしていますか。(複数回答)

どなたかと相談しながら、終活をしていますか。

Q2. ご自身のお子さまと相談しながら、終活をしたいですか。(単回答)

ご自身のお子さまと相談しながら、終活をしたいですか。

Q3.Q2における回答の理由は何ですか。(複数回答)

Q2における回答の理由は何ですか。

Q4.ご両親の終活に関して、どの程度関与していますか。(単回答)

Q4.ご両親の終活に関して、どの程度関与していますか。

Q5. ご両親が終活していることを相談してほしいですか。すでにご存知の方も、本当は相談してほしかったですか(単回答)

Q5. ご両親が終活していることを相談してほしいですか。

親は「相談したくない」、子供は「相談してほしい」

Q1~Q5は、終活に関する調査です。

終活を行っている人が、「配偶者と」「一人で」を合わせて90%を超えているので、そもそもこのアンケートに回答する人が、終活に関心のある層なのでしょう。そうはいっても、何をもって終活なのかは人によって違うと思います。
終活を前向きにとらえてオープンなものとして考える人は増えているのかもしれませんが、このアンケート結果だけではなんとも言えません。

終活セミナーなどを開催すると、参加者からは「子供達に迷惑をかけたくない」という声をよく耳にします。
こちらのアンケート結果でも、「迷惑をかけたくない」という人が49%となりました。これは実感と大差ないように思います。

しかしながら、送り出す世代と親世代の終活に関する意思疎通がなされているかというと、「子供には相談してやりたくない」「親が終活していることを知らない・わからない」が多く、一緒に考えたりする人はさほど多くないようです。
終活を家族間で一緒にしなければいけないというわけではありませんが、次世代へ引き継ぐモノやコト、情報は共有していく必要があります。ひとりでできること、夫婦で考えた方が良いこと、家族で考えた方が良いことなど、整理してみることも終活のひとつです。

「樹木葬」への関心は高まっている

Q6.興味のあるお墓・供養方法の種類をお答えください。(複数回答)

Q6.興味のあるお墓・供養方法の種類をお答えください。

Q7. 親に入ってほしいと思うお墓・供養方法の種類をお答えください。(複数回答)

Q7. 親に入ってほしいと思うお墓・供養方法の種類をお答えください。

Q6~Q10は、お墓についてのアンケートです。

「興味があるお墓」として「樹木葬」の割合が高いのは、近年各販売業者からの声と一致しています。墓石の代わりに樹木をシンボルとする樹木葬墓地は、区画が小さくてすみ、墓石代が不要(墓石を必要とするところもある)とあって人気を博しています。
(実際に購入に至るかどうかは別として……)

ただ、このQには少し注意しなければいけません。「お墓・供養の種類」の選択項目にある「樹木葬」「納骨堂」「海洋散骨」「ガーデニング墓」「芝墓地」は外形、つまり見た目の違いですが、「合祀墓」「夫婦墓」は承継方法による違いのため、同じ土俵に並べるのは無理があります。つまり「樹木葬」「納骨堂」でも「〇〇家」として継ぐことを前提とするお墓もあれば、「合祀墓」「夫婦墓」のように継がないお墓もあるわけです。

Q8.ご自身のお墓を選ぶうえで、どのようなことを重視しますか(複数回答)

Q8.ご自身のお墓を選ぶうえで、どのようなことを重視しますか

Q9. ご自身が亡くなられた際、お墓参りに来てほしいですか(複数回答)

Q9. ご自身が亡くなられた際、お墓参りに来てほしいですか

Q10. ご自身のお墓がどのような場所にあるといいなと思いますか(複数回答)

Q10. ご自身のお墓がどのような場所にあるといいなと思いますか

Q11. ご自身のお墓の場所を選ぶうえで、どのようなことを意識されていますか(複数回答)

Q11. ご自身のお墓の場所を選ぶうえで、どのようなことを意識されていますか

Q12. ご両親のお墓の場所に関して、どのようなことを意識されていますか(複数回答)

Q12. ご両親のお墓の場所に関して、どのようなことを意識されていますか

お墓を選ぶポイントは、「お墓参りがしやすい」こと

お墓は建てて終わりではありません。そこに手を合わせる人がいるからこそ、次世代へ縁を繋いでいけるわけです。アンケートでも、立地や管理のしやすさなど、「お墓参りがしやすい」ことを重視する人が多いという結果が出ています。
墓前で心の会話を交わすような供養の文化を大切にしたい人は多いのではないでしょうか。

弔いの文化は世界中で形を変えながら受け継がれ、私たちは丁寧に次世代へ引き継いでいく役割を担っています。多様化を捉えつつ、守るべきものをしっかりと守ることも、葬儀・供養業界には求められているのかもしれません。
葬儀・供養のおいても多様化がみられる昨今ですが、「送り出す世代」と「親世代」のリアルな現実が垣間見られた興味深いアンケート結果でした。  (岩田)

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