お墓参りの基本マナー・作法

今回はお墓参りののマナー・作法についてご紹介したいと思います。
実はお墓参りに際して
「絶対にこうしなければならない」
というマナー・作法はさほど多くありません。
お墓参り

もちろん、宗教による違い、霊の存在の有無についての考え方、墓相に対する考え方など、宗教観・精神論でのタブーや推奨マナーなどはありますが、
基本的にはご先祖に感謝をし、手を合わせることが根底にあります。

服装も気になるところですが、墓前法要や納骨式等フォーマルなシーン以外は、普段着で差し支えありません。

お墓参りの持ち物は

  • 生花
  • お供え物
  • 線香
  • ロウソク
  • ライターなど

掃除が必要な場合は、スポンジ、雑巾、スコップ、剪定用ハサミ、ゴミ袋等を準備しましょう。

お墓の掃除方法

よくタワシでゴシゴシ墓石を磨いている光景を目にしますが、墓石を痛めてしまい、細かい傷からコケやカビが発生することもありますから、あまりお勧めできません。
特に金属タワシは錆の原因になるので避けた方が良いと言われています。

お墓参りの作法

寺院墓地であれば、まずは寺院の本堂にお参りします。
お彼岸やお盆の時期なら本堂で法要を行っているので、時間を合わせてお参りしてみてはいかがでしょうか。
特別な作法はないというものの、占い師やマナーの専門家と称する人が発信するさまざまな情報が乱立し、それを正式な作法と思い込んでいる人もいます。

例えば次のような作法、どこかで聞いたことありませんか?

墓に水をかけるのはタブー?

お墓参りの際に、「墓石の上から水をかけてはいけない」いう人がいます。
理由は「先祖の頭に冷や水を浴びせる」つまり屈辱行為に値するからだそう。

しかし一方で「水はたっぷりかけたほうがよい」という説もあります。
これは
「仏具を磨くことと同様、仏様に向かう気持ちを整える」
「餓鬼道にいるかもしれない先祖の苦しみを救う」
などの理由から。

つまり、どちらの行為も意味づけはできるため、間違いではありません。
墓石のメンテナンスという意味では、軽く水をかけた後、苔や汚れを取りながら乾いたタオルで拭きあげていくことをお勧めします。
なお、お酒などを墓石にかけると、石を傷める原因となりますので避けましょう。
墓前にお供えした果物や菓子などの供物は、置いていかずに持ち帰っていただきます。

バラなど棘のある花は避けたほうが良い?

仏花にバラやアザミなど棘のある花を使用しても良いのでしょうか。
宗派や寺院によって考え方に差異はありますが、基本的には四季に応じた花でかまわないとされています。

お墓参り
棘のある花を避けるべきといわれているのは、棘に攻撃的なイメージがあるからであって根拠はありません。
最近ではバラに限らず、多くの洋花が故人が好んだ花、故人を象徴する花として仏壇や墓、また葬儀のシーンでも用いられるようになっています。
ただし、他人に送る花の場合は、奇を狙った斬新なアレンジよりも、淡い色調のクラシックなイメージでまとめたほうが無難でしょう。

ちなみに、欧米ではセイヨウヒイラギがクリスマス期間中に民家、教会、墓地などに飾り付けられることがあります。
セイヨウヒイラギは、キリストの足元から初めて生まれた植物であり、トゲのある葉や赤い実やキリストの流した血と苦悩をあらわすそうです。セイヨウヒイラギには邪気を追い払う力があると考えられているのでしょう。

毒のある花は避けたほうが良い?

毒のある花、香りの強い花も避けた方が良いという意見があります。
しかし、仏事に用いられる「樒(しきみ)」は毒も香りも強い花ですし、お供え花の定番である菊も香りの強い花、冬の墓前のお供え花として人気の水仙もすべての部位に毒性がありますので、この説にとらわれる必要はないでしょう。

彼岸花といわれる別名「曼殊沙華」も全草有毒といわれ、モグラなどの動物に荒らされないように墓地の近くに植えられたと言われています。

花はどっち向きにお供えする?

墓や仏壇に花をお供えする場合、どちらに花を向けたら良いか気にしたことはありますか。花の向きは

  • 花を仏様に向ける「向上相」
  • 花を八方に向ける「向中相」
  • 花を私たちの方に向ける「向下相」

の3通りありますが、平安時代に宇多天皇が「向下相を用ゆるべし」と発したことから、こちらを向く「向下相」が主流になったのではないかといわれています。

これは仏様に美しいものをお供えして飾るという意味だけではなく、仏様から慈悲をいただく、という意味があるからだそう。
花という美しいものに接することによって私たちは心を穏やかにし、仏道修行に励む心を助け、その心を養い育てていくことができるのです。

墓参用の線香は束、それとも数本?

線香
墓参用の線香となると、なぜか束になって販売されています。
本堂の前などにある大香炉に線香をお供えする場合、束の線香はばらさず束のまま使用することと看板に明記されている寺院もあるようです。
では仏壇のように1本(宗派によっては2本、3本)という焚き方ではいけないのでしょうか。

各宗派の僧侶に尋ねると、基本的には仏壇と同じ本数、焚き方で可能という回答が多く必ずしも束でなければいけないわけではありません。

束で使用されるようになった理由としては、
「墓参用に販売されている束線香は、屋外で使用されることを前提として作られているため、香木を使用した線香と違い大量の煙を出す。その煙に宗教的意味合いがあった」
という説。
「土葬だった時代には、埋葬地周辺は死臭が漂うことがあった。そのため大量の煙と香が求められていた」
という説。
「線香業者がバラ売りする際に、束のほうが販売しやすく値段がつけやすかった」
等の説があります。

墓石のことを考えたら、香炉や香炉皿の形状等にもよりますが、束のままより分けてお供えしたほうが良いでしょう。
特に2~3束まとめて香炉に入れると、燃焼時間が長くなり、さらに高温になると墓石のひび割れの原因になります。

線香の消し方については、息を吹きかけて消すのが無作法であることは宗派、習俗に関係なく共通事項。炎がついている場合は手であおって消します。

お墓参りは午前中に行った方がいい?

お墓参りは午前中からせいぜい午後1時ごろまでにすませたいという人が多いのではないでしょうか。
実際夕方にになると霊園内を歩いている人の姿が激減します。

「お墓参りは他の用事より優先して先に行くべき」
「午後から行くということは、ご先祖を後回しにしている」

と小さい頃から教えられてきたという話もよく聞きます。
基本的にはどの時間帯に行こうが作法として間違いではありませんが、その家の習慣として、また地域の習俗として「午前中のお参りが一般的」とされているならそのしきたりに合わせるのが無難でしょう。

では日没後のお墓参りは好ましくないのでしょうか。
そもそも夜の墓地は安全上決して良いとはいえません。
照明設備が少なく、階段や坂道などの段差があり足元が不安定です。
夏だと蚊に刺されたり、気付かぬうちに毒虫に遭遇することもあるでしょう。
不審者によるいたずらを避ける意味でも、墓参は日の出から日没までとし、それ以外は立ち入りを制限している墓地が多いのが現実です。

しかし都市部に最近建てられている納骨堂の中には、夜8時や9時頃まで墓参可としているところも少なくありません。
学校帰りとみられる学生が日没後にふらりと立ち寄ったり、毎晩仕事の後にお参りしているサラリーマンの姿を見ていると、墓参スタイルの変化を感じます。

こうしたセキュリティ完備の施設が増加することで、墓参スタイルも多様化しています。

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