お香
香は祈りの場に欠かせないアイテム
以前、線香等の製造販売を手掛けるの工場見学へ行ったことがあります。日本のみならず海外にも製造工場はありますが、見学させていただいたのは都市部にある工場。
他の工場とは異なり、ここはすべての工程がオートメーション化されているわけではありません。
職人の手によって支えられている製造工程を見せていただくことができました。

お香は仏教では花とロウソクの火と並んで、祈りの場に欠かせない重要アイテムです。

お香の歴史を紐解いていくと、4千年前のインドではすでに香の文化があり、西へ東へ伝わりました。

古代エジプト

女王クレオパトラも入浴後に香油を肌にすりこんだというエピソードがあります。

イエス・キリスト

イエス・キリスト誕生時には、黄金と一緒に乳香と没薬(ミルラ)という二種類の香料が贈られ、乳香はマリアの涙と言われるほど、特にカトリック教会では馴染みのある香となりました。
昔は体臭や悪臭を除くための目的というのもあるでしょう。
時に医薬品であったり、防腐剤であったり、さまざまな目的で使用されたお香。お釈迦様の亡骸も香木で炊かれて火葬されています。

仏教

宗派によって若干の違いはあれど、心を落ち着かせ仏様に向かう精神統一の意味があったり、老若男女すべての人にわけ隔てなくいきわたる仏教の精神がお香によって表されています。

家庭用の線香は25分くらいで燃えつきる

日本に伝わったのは今から1400年前のこと。
淡路島にたとえようものない芳香を放つ1本の木が漂着しました。
この噂を耳にした聖徳太子は使いを出して香木を回収したところ、これを異国から漂着した沈香であると見破ったそうです。

線香
平安時代には貴族の間で雅な香文化が開き、次第に武家社会にも伝わるようになりました。しかしその時代にはまだ線香はありません。
線香が登場するのは江戸時代になってから。
数種類の原料を粉にして調合し、つなぎには粘土状になるタブノキの粉が使われます。これらを練り合わせ、棒状に伸ばして乾燥させたものが線香です。
扱いやすいこと、最後まで均一に燃焼していく等、手軽に扱えることから一般家庭に広がっていきました。
現在一般に販売されている線香は、だいたい25分ほどで燃えつきるようにテストをしたうえで市場に出されているそうです。

このように、香りの文化は古代から形を変えながら現代に伝わっています。最近の線香の売れ筋といえば、微香・微煙だそう。
煙がモクモク出るタイプや香りの強いものは敬遠されるとか。
コーヒーやキャラメルなど一風変わった香りを提案している製造メーカーもあり、線香業界にも変化が見られます。