神社の場合、「忌中」はダメ。「喪中」ならOK?
喪中時は、神社・仏閣(寺院)への参拝は避けるべきと言われています。
そのように伝えられ、慣習とされている家も多いかと思いますが、実際に神社や寺院に聞くと次のような答えが返ってきます。

喪中はがき
神社「基本的には忌が明けていれば、喪中でも参拝は可能です」

寺院「寺院は本堂を利用して葬儀、法要を行ったり、墓地もありますから、忌中でも喪中でも参拝可能です」

神社の場合は、特に地域性もありますので同じ答えが返ってくるとは限らず、「喪中時はダメ」と断言するところあると思いますが、直接尋ねた神社からは概ね「忌明けならOK」との返答がありました。

では、そもそも忌中と喪中の違いは何でしょう?

「忌中」と「喪中」の違い

「忌中」と「喪中」はそれぞれ別の意味があります。
「忌中」とは、神道では「ケガレ(気離れ、気枯れ、穢れ)である死を悼む期間」のこと。
忌中時(五十日)は出仕(仕事)を控え、殺生をせず、髭を剃らず、神社に参拝しない、としています。

昔の人たちにとって、死は忌み嫌う恐ろしいものだったうえ、伝染病などの不安もありましたから、死を「穢れ」「汚れ」たものとみなし、一定期間は死を遠ざけたいという思いがあったのでしょう。
魂が肉体から離れていくさまを「気離れ」としたり、また、活力が低下し、気が枯れたような状態になる「気枯れ」の状態であるために、その「気」の状態が落ち着くまでの間を「忌中」としていたという説もあります。

一方、仏教ではケガレの概念はありません。しかし日本古来からの民間信仰と結びつき、四十九日法要が終わるまでを忌中として過ごす慣習ができました。

「喪中」とは、「死者を偲ぶ期間」のことを言います。
故人のことを思い、通常の生活に戻るために少しずつ気持ちを慣らしていく期間で、昔は喪服を着て外出を控えて過ごすとされていました。
(浄土真宗場合、亡くなった人はすぐ阿弥陀如来がいる極楽浄土に行くとされているので「忌」や「喪」の概念がありません。)
「喪中」は「ケガレ」の状態ではないので、神社への参拝がOKということなるわけです。

華やかムードは喪中時には違和感

喪中時の初詣OKと言われても、露店が並び着飾った人でにぎわう新年の神社仏閣は、お祝いムードであふれています。
そんな中に、あえて喪中の人が飛び込んでいくのも違和感を感じます。
一般的なマナーとして「喪中時は神社仏閣を控えること」と言われている理由は、「お祝いムードを避ける」という意味が含まれ、教義上というより地域や家庭の慣例、寺社の考え方によるところが大きいと思います。

儀礼的なことにとらわれずに、「どのような新年を迎えたいか」という視点が大切です。
大切な人が故人となって初めて迎える正月ですから、年末は仏壇を整え、新年はお墓参りからスタートという形でも良いでしょう。