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日本の葬儀マナーは、死者の尊厳を守ることを第一とし、地域の慣習と宗教が混ざり合いながら、時代とともに変化し、伝承されてきた経緯があります。
「こうしなければならない」という全国統一ルールはありませんが、その場に応じた最もふさわしいふるまいをすることが基本となります。お通夜やお葬式など、慣れないシーンだと細かいマナーが気になってしまうもの。
焼香回数や香典の表書きを気にする人が多いのですが、実際の現場で気になるのは別のところにあるものです。
ノースリーブとミニスカートで色気出しすぎ
男性と違って、女性の場合は季節に合わせて服装の調整ができるのが良いところですが、真夏の喪服の選び方には注意が必要です。
時々見かけるのが、胸元が大きく開いたブラウスやノースリーブにミニスカート姿の黒服女性。
ストッキングは10デニールほどしかないのではと思われる超薄で、ちょっと色気を出しすぎかな、と思われる装いの人も……。
喪の服装は、弔意を表すことが目的でお洒落をする場所ではありませんから、黒ならなんでもOKということではなく、その場にふさわしい配慮がなされているかどうか、という点を見られているんですね。
季節に応じた服装をすることは良いのですが、喪のシーンにふさわしい装いを心掛ける姿勢が大切です。
香典袋に名字だけしか書いていない
個人的におくるのではなく、〇〇家としておくるという意味で、名字しか書かない人もいますが、受け取る側は名字だけで必ずしも本人を特定できる間柄だとは限りません。
また、近年は、故人と残された人が一緒に住んでいないことも多く、また住所録を紙媒体で記録している人も少なくなっていることから、香典の差出人が特定できずに困ってしまうケースもあります。
香典袋には、フルネームを書き、住所まできちんと書いて出すようにしましょう。
達筆すぎて読めないというケースもありますのでご注意を。
数珠を椅子に置いて場所をキープ
数珠の扱い方については、案外きちんと教えてもらったことがないという人も多いのではないでしょうか。
焼香するときにだけ持つのではなく、葬儀の間はずっと左手に持つか手首に掛けるのがマナーです。
バッグにしまうときやトイレに行くときなどはどうしたら良いでしょう
バッグにしまうときには、そのまま入れずに数珠袋やふくさに包んでしまいます。
トイレに行くときはポケットに無造作に入れたり、椅子の上に置きっぱなしでいかないこと。
数珠は仏教で使う大切な法具ですから、その都度包んでバッグやポケットに入れるなど、大切に扱います。
思わず言ってしまう「大往生でしたね」
大切な人を亡くした遺族に対して、何という言葉を掛けたらよいのか悩むところです。
「重ね重ね」などの重ね言葉や、「死」「苦」を連想する四や九など忌み言葉を避けるということは、冠婚葬祭シーンでやよく言われることがですが、単に語呂合わせから敬遠されるのであって、現代ではさほど気にしすぎる必要はないでしょう。
それよりも、喪失に直面した人に対して心無い言葉や、励まし、慰めが相手を追い込んでしまうことがありますので注意が必要です。
例えば「大往生でしたね」という言葉を使うときは、少し注意が必要です。
本来は言っても失礼な意味ではないのですが、他人から言われることに抵抗がある遺族もいます。
「残念」「もっと長生きしてほしかった」という類の気持ちを伝えるほうが良いでしょう。
また、「案外元気そうで良かった」と励ましのつもりで言ったのに、かえって傷つけてしまったというケースもあります。
悲しみの中にある人には、気の利いた言葉よりも思いを静かに聞く姿勢が大切です。