昨年の今頃だったと思いますが、「喪服を着用する際には黒マスクが良い」というツイートが話題になりました。結論から言えば、マナーの出所もあいまいで、黒マスクマナーは単なる噂レベルでしかないように思います。

マスクのマナーは確立していない

今年(2021年)はじめには、某局の朝のワイドショーでシーン別のマスクのマナーなる特集がありましたが、内容をめぐりコメンテーターから「これはマナー講師の考えでしょ?」というブーイングがありました。
マスク生活になってから日が浅く、マナーもなにもない段階で「言ったもの勝ち」のようなマナーの押し付けは、大炎上の火種をつくっているようなものです。

「喪服には黒マスクを着用」のヘンテコマナー

実際の現場ですが、圧倒的に白が多く、黒の割合はさほど多くありません。
そもそも黒いマスクはコロナ以前だと「若者がするもの」「圧迫感を与える」とあまり日常使いされていなかったように思います。
マスクが手に入りにくかった2020年春頃、当時手に入りやすかったウレタンや布の黒マスクが一般にも使用されるようになったと記憶しています。私もその頃、黒いウレタン製のマスクをストックしていました。
その後、不織布マスク不足は解消され、現在ではさまざまな色のマスクが流通しているのはご承知のとおりです。
葬儀は弔いの場であり、自己主張の場ではありませんから、お洒落を披露する必要はありません。自分ができる範囲で最大限の弔意を示すことができる装いを心掛けることが大切で、その場にふさわしいマスクであれば色は白でも黒でもどちらでも良いと思います。感染予防の点からみると不織布マスクが推奨されていると思います。

ヨーロッパのロイヤルメンバーは黒マスクか!?

海外ではどうでしょうか。
2021年4月8日に99歳で亡くなったイギリスのフィリップ殿下の葬儀では、参列したエリザベス女王をはじめ、チャールズ皇太子やウィリアム王子など、全員黒マスクで統一されていました。
2020年6月にモナコでロイヤルメンバーが集まった葬儀でも、マスクは黒で統一されている画像が残っています。
今後どうなるかはわかりませんが、ヨーロッパでは喪服の際には黒マスクがスタンダードとなる可能性があるのかもしれません。

グレーのマスクも違和感なし

現状、日本では白マスクが多いと前述しましたが、先日某大臣が靖国神社参拝でグレーのマスクを着用している姿をみかけました。カラーマスクをよく見かけるようになったせいか、違和感を感じませんでした。
マナーは時代と共に変化するもの。小笠原流に伝わる古文書には「時宜によるべし」という教えが数多く記されているとか。「なぜそのようにふるまうのか」という基本的な考え方を理解することが大切だと思います。

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