年賀欠礼状は「年賀状受け取り拒否宣言ではない」

年賀状
喪中はがきで年賀欠礼のお知らせをいただいた場合、こちらから年賀状の送付を控えるのが一般的とされています。

しかし近年、喪中はがきの印刷カタログやパンフレットに、こんな例文が増えているのをご存知でしょうか?
「皆様からのお便りは楽しみにしております」
「皆様からのお年始状は励みにもなりますので、例年どおりお送りいただましたら幸いです」

このような一文を加えるようになったのは、5~6年ほど前からだったと思います。

12月17日の神戸新聞NETで次のような記事がありました。

以下、引用
はがきの印刷を手掛ける「グリーティングワークス」(大阪市西区)は2017年、喪中はがきの数ある文例に、年賀状を希望する旨の文章も加えて選べるようにした。
同社によると「毎年年賀状でその人の近況を知る」「年賀状のみのやり取りの人がいる」などが理由で、数年前から喪中の際に年賀状を受け取ってもいいのかと問い合わせが続いたという。
担当者は「文化やマナーが変化する中、より使いやすい文章を提供したかった」と話す。
日本郵便が販売する喪中はがきの印刷パンフレットにも14年用から登場。カメラのキタムラを運営する「キタムラ」(横浜市)も、5~6年前から、「皆様からの年賀状は、いつも通りお待ちしています」などの例文を加えている。

引用:神戸新聞NET(2018年12月17日)
https://www.kobe-np.co.jp/news/sougou/201812/0011911805.shtml

そもそも年賀欠礼状は、「近親者を亡くしたばかりで、まだ悲しみが癒えない状況にある。新年をお祝いできる状態ではない」ため、こちらから年賀状を出すことを控えるという意味で、相手からの新年のメッセージを受けないと宣言するものではありません。

しかし慣例として、「喪中だけど、年賀状待ってます」はまだ定着しているものではないので、人によっては誤解が生じてしまうことになりかねません。
※葬送儀礼マナー検定テキストでは喪中はがきについて「相手の年始の挨拶を否定するものではなく、受取を拒否するものでもありません」とし、近年の傾向に沿って「お年始状は楽しみにしております」の例文を紹介しています。

一般的には「寒中見舞い」で挨拶が無難

喪中の方への挨拶としては年賀状ではなく「寒中見舞い」として出すのが一般的とされています。
寒中見舞いとは、厳寒期に相手を気遣って、お互いの近況を報告しあう季節の挨拶状のこと。
松の内を過ぎてから(1月7日以降、1月15日以降とする地域もある)1月下旬までを目安に投函するのが一般的です。

寒中見舞いは、暑中見舞いと同じ季節の挨拶ですから、文体や書き方に決まりはありません。
しかし喪中の相手に送る場合は、文体やフォントなど落ち着いたデザインでまとめたほうが無難です。
白黒でなくてもかまいませんが、派手になりすぎないようにまとめます。
写真やイラストを入れても大丈夫ですが、初詣や日の出など正月をイメージする写真、千支など年賀状の定番である絵は使用しません。
「冬」や「早春」を連想させる花、草木、風景などを入れることは可能です。
相手との関係によっては、愛犬、愛猫、家族の写真を入れても大丈夫です。