安倍晋三元総理大臣の「国葬」について物議を呼んでいます。
予定では9月27日に東京の日本武道館で行う方向で準備が進められています。
国葬とは?
国家にとって特別な功労があった人物の死去に際し、国費にて行われる葬儀のことである。
と定義されていて、国が施主となって執り行われます。
国家の儀式なので、その費用は全額国費で賄われます。
これまでの国葬の実績は?
1878年(明治11年)の大久保利通の葬儀が近代国葬のルーツといわれ、実質的に初の国葬となるのが岩倉具視、さらに島津久光、三条実美、伊藤博文などの明治維新の功労者や公卿等が国葬として執り行われています。
1926年(大正15年)には国葬令が制定され、天皇の勅令で行われることが法律化されました。
国葬令は5条からなる短い法令で、第一条が「大喪儀は国葬とする」。これで天皇、皇后、皇太后、太皇太后の葬儀は国葬となることが明記されたわけです。この2カ月後に大正天皇が崩御されています。
国葬令の第3条には「国家に偉効ある者が亡くなったときは、特旨(天皇の考え)により国葬を行うことがある」と、そして第5条には「皇族ではない者の国葬は、内閣総理大臣が天皇の裁決を経て行う」と規定されているため、内閣の判断で国葬が行われました。戦時中、東郷平八郎、山本五十六も国葬されています。
しかし、戦後の日本国憲法の施行に伴い国葬令も廃止の流れとなりました。
例外的に国葬された総理大臣経験者は吉田茂元総理だけで、安倍元総理が国葬2人目となります。
これまで政府が関わった葬儀は?
<国民葬>
国民葬は国家に対して多大に貢献した人を称え、その死を悼む葬儀。
その費用は国葬とは異なり、一部は遺族などの個人が負担されます。
近年では総理大臣経験者の佐藤栄作が国民葬として行われました。合同葬との明確な違いはなく、
具体的な定義もありません。
<合同葬>
これまで「内閣・自民党合同葬」という名目で、は政府と自民党の共催で費用の一部を国費で負担しました。
「内閣・自民党合同葬」は中曽根康弘、大平正芳、福田赳夫氏など、首相経験者の葬儀でも行われています。
他に、衆議院葬・参議院葬などがあります。
国葬の判断基準とは?
政府の意思決定の会議は閣議であり、首相、すべての閣僚の意思決定手段のなかで、最上位に位置づけられるのが「閣議決定」となります。この閣議決定で「国葬」が決定されました。
岸田首相は、安倍晋三総理大臣の「国葬」実施を判断した基準について問われ、「その時の国内情勢、国際情勢によって評価は変わる。その都度、政府が総合的に判断をする」と述べました。
今回の国葬は?
武道館で行われる国葬の参列者は6000人程度を想定し、すでに案内状が発送されました。もちろん一般人は参列できません。
武道館のキャパシティ、コロナ渦であるという点、厳重警備体制の中で執り行われることを考慮されています。
武道館のある北の丸公園一帯は、警備を徹底するため、国葬前後の一定期間は立ち入り禁止となるのですが、一般向けの献花台を設けることが決まっています。一般献花の場所は、会場の日本武道館に程近い「九段坂公園」とする方向で詰めの調整が進められています。
時間は、午前10時から午後4時までの間で、献花用の花は参拝者ご自身で用意する必要があります。
https://goo.gl/maps/r2getc4LGf1uEetbA
弔いのお気持ちで献花に行かれる場合は、警備が厳重で、混雑が予想されることと、コロナ禍であることを留意していただきたいと思います。
(岩田)
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