月20日~22日、東京ビッグサイトにて「第5回エンディング産業展」が開催されました。人生のエンディングの領域でのビジネス展示会です。
エンディングの領域には、どのようなビジネスが存在しているでしょうか。
僧侶も次世代を模索、会場内をウロウロ
葬儀、お墓、供養に関する設備・機器・サービスを提供している業者が主な出展社です。
例えば「遺体保全」ひとつとっても、より安全且つ合理的に管理できるような設備やシステムが開発されていますし、死化粧や納棺などを通じて遺族との向き合い方が変わってきますので、そうした教育事業もエンディング産業のひとつです。
エンディング関連の展示会では、総合ユニコムが主催する「フューネラルビジネスフェア」が先駆者的存在でした。葬儀業界の経営情報誌「月刊フューネラルビジネス」の創刊とともに、第1回が開催され、2019年で23回になります。
葬儀の市場が変化し、関心事も葬儀そのものから、「終活」「墓じまい」「おひとりさま」等に移行したことから、フューネラルだけではなくエンディングとして広く捉えてビジネスを仕掛ける必要性が出てきました。
そんな時勢の中で登場したのが「エンディング産業展」だと思います。葬儀、お墓、仏壇、火葬、遺言、お片付け、寺院、ペット葬・墓……さまざまな分野の商品やサービスが展示されています。
僧侶が会場内をウロウロしている姿を見かけるのも、エンディング産業展ならではの光景でしょう。
今年のメディアの注目は「孤独死」
エンディング産業展では、多くのメディアの取材があり、新商品や新サービスが取り上げられます。
数年前は「宇宙葬」や「ペッパー導師」などが話題になりました。
今年は、新商品や新サービスではなく、「孤独死」現場のリアルな模型が話題となりました。この模型を展示しているのは、遺品整理の会社です。
孤独死の現場の写真を展示する会社はこれまでありましたが、これをリアルにミニチュアに再現するのは、初の試みで注目を集めました。
しかし近年、孤独死にまつわる悲惨な現場の様子がメディアで取り上げられるようになり、孤独死のイメージが「寂しい」「悲惨」という印象操作がなされているように思います。
一人でも豊かな終末期を迎えている人がいることも伝えていく必要があると思います。
セミナーの本数は90本。3日間通っても飽きないラインナップ
この展示会は、セミナーを目的に来場する関係者が多いことで注目されています。
無料セミナーは90以上開催。数が多いだけにラインナップされている講師や講演内容を見てみると、クオリティの高いものと、そうでないものもあり、すべてが「おすすめ」というわけではありませんが、勉強する機会が限られている現場スタッフには、貴重な学びの場だと思います。
しかし、某運営関係者からこんな声がありました。
「経営者ばかりでなく、現場の若い人が学べるようなセミナーを揃えたのだけれど、実際はほとんど来ていない。経営陣の交流の場として利用してもらうのも良いが、現場の人にもどんどん来てもらわないと、結局マンネリ化してしまう」
と危惧する声もあったのが印象的でした。
運営事務局の発表によりますと、会期中の3日間の来場者登録数は、約22000人。来年度は東京五輪の関係で日程がずれ、次回「第6回エンディング産業展」は2020年11月18日~20日、東京ビッグサイトの青海展示会場で開催予定です。